足元だけでなく「頭の中」も整える:「言語化」で自分の思考と行動を明確にする方法
こんにちは。【足育チャンネル】心と体の授業です。
今回は、PIVOT公式チャンネルさんのYouTube動画「【言語化できる人できない人】言語化=明確にすること/リーダーは行動を明確に示す/言語化できているという思い込みを捨てる/比較と定義で言語化上手/言語化コンサルタント・木暮太一氏【PIVOT TALK】」を拝見しました。言語化コンサルタントの木暮太一さんが、ビジネスにおける言語化の重要性や具体的な方法について解説されている動画です。
これはスポーツにも置き換えることができると思い、私のマインドセット含めてお伝えいたします。

【足育チャンネル】について、私が日頃感じていることや大切にしていることを皆さんにもっと分かりやすく伝えるにはどうすれば良いか、そんな思いからこの動画を見て、たくさんの学びがありました。
なぜ、今「言語化」が必要なのか?
動画の中で木暮さんは、なぜ今ビジネスにおいて言語化が重要になっているのかについて語っています。
以前はなんとなくで物事が進んでいたけれど、世の中にモノや情報が溢れる中で、新しく価値を提供するためには「そもそも価値とは何なのか」を自分自身が言葉で理解していないと、何をすれば良いか分からなくなってしまうと指摘されています。
また、特にコロナ禍を経てオンラインでのやり取りが増え、これまでなんとなく肌感覚で伝わっていたものが伝わらなくなり、ストレスが限界に達したことも、言語化が注目されるきっかけになったとのことでした。

私は【足育チャンネル】について発信する中で、専門的な知識をいかに分かりやすく伝えるかに悩むことがあります。なんとなく伝わっているだろう、ではいけないのだな、と改めて感じました。
「言語化」とは「明確化」すること
木暮さんは「言語化」の定義を明確にされています。
明確にさえなっていれば、言葉だけでなく図形でも言語化したことになるし、逆に言葉で「いい感じにやっておいて」と言うだけでは、指示が明確になっていないので言語化できていない、ということになります。
自分が何を明確にしたいのか、何が明確になっていないから今の状況(例:伝えたいことがうまく伝わらない、など)になっているのかを考えることが、言語化の出発点になるのかもしれない、と感じました。
ビジネスにおける言語化の役割
ビジネスにおける3つの言語化の要素が挙げられています。
- 経営者: ビジョンを言語化する必要がある。
- メンバー: 日々のお互いのやり取り(コミュニケーションを言語化する必要がある。
- リーダー: メンバーが取るアクションを言語化する必要がある。
リーダーがメンバーのアクションを言語化する、ということについては、「メンバーが自分で考えなくなるのでは?」という反論もあるそうですが、木暮さんはこれをスポーツの監督と選手の関係に例えて説明されています。
試合に勝つための作戦や、各プレイヤーが何をすべきかを指示するのは監督の役割であり、ビジネスにおけるリーダーも同様に、ビジョン達成のためにメンバーが取るべき具体的なアクションを明確に示す必要がある、とされています。
この話を聞いて、「足育」や「心と体の授業」を伝える場においても、対象者(子供たち、保護者、先生など)が「何のために」「どのようなアクションを取れば良いのか」を明確に示すことの重要性を感じました。
スポーツにおける言語化の役割

木暮さんのビジネスにおける言語化の役割からスポーツについて考え、言語化してみました。
スポーツの世界でも、ビジネスと同様に「言語化」は非常に重要な役割を果たします。選手、監督、チーム全体が目指す目標を共有し、具体的な行動に落とし込むために、言語化は不可欠です。
1. 監督:ビジョン・戦略の言語化
監督は、チームが目指す究極の目標、つまり「ビジョン」を言語化する必要があります。例えば、「〇〇大会で優勝する」といった明確な目標設定はもちろんのこと、その目標を達成するための「戦略」も言語化します。どのようなプレースタイルで、どのような戦術を用いるのか、試合の流れの中でどのように判断し、行動すべきかといった全体像を選手に明確に伝えることで、チーム全体が同じ方向を向き、一貫性のあるプレーが可能になります。
2. 選手:日々のコミュニケーションの言語化
選手同士の「日々のコミュニケーションを言語化」することは、チームの結束力とパフォーマンス向上に直結します。練習中のフィードバック、試合中の声かけ、作戦確認など、お互いの意図や状況を言葉にすることで、誤解を防ぎ、連携をスムーズにします。例えば、「今のはもっと早くパスを出してほしかった」「次は俺がカバーに入る」といった具体的な言葉は、次に繋がるプレーの改善や、より良いチームプレーを生み出すための土台となります。
3. リーダー(キャプテンなど):アクションの言語化
チームのリーダー、例えばキャプテンなどは、「メンバーが取るべきアクションを言語化」する役割を担います。これには「メンバーが自分で考えなくなるのでは?」という反論もあるかもしれませんが、これは「チーム内での役割分担の明確化」として捉えられます。
試合中、監督が全体的な戦略に基づいて指示を出す一方で、キャプテンはコート上やフィールドで刻々と変化する状況に対応し、監督の意図を汲み取りながら、具体的なプレーの指示を出すことがあります。
例えば、バスケットボールでキャプテンが「ここはインサイドにパスを入れて、チャンスを作ろう!」と指示を出したり、サッカーで「ディフェンスはもう少しラインを上げて!」と声をかけたりするのは、選手が自分で考えることを奪っているわけではありません。
むしろ、チームとして最も効果的なアクションを明確に提示することで、選手は迷いなく自分の役割に集中し、最大のパフォーマンスを発揮できるようになります。リーダーがアクションを言語化することで、選手は自分の役割を理解し、チームの勝利に貢献するための具体的な行動を効率的に実行できるのです。
指示の明確化:「いい感じにやっておいて」を具体的にするには
「いい感じにやっておいて」という曖昧な指示は、多くの職場で起こりがちで、これも言語化ができていない典型例だそうです。このような指示を明確にするための具体的な方法が紹介されていました。
それは、指示を出した後に、「そのために何をする」「そのために何をする」「そのために何をする」と3回繰り返して自分自身に問いかける方法です。
例えば、監督が選手に「いい感じにパスを出してくれ」と指示を出したとします。このままでは、選手はどのように「いい感じ」にパスを出すべきか分からず、試行錯誤を繰り返したり、監督の意図と異なるプレーをしてしまう可能性があります。
そこで、この問いかけを適用すると、以下のように掘り下げることができます。
- 「いい感じにパスを出すために、何をする?」
- 「相手ディフェンスの動きを見て、スペースに走り込む味方にパスを出そう」
- 「スペースに走り込む味方にパスを出すために、何をする?」
- 「パスを出す前に、顔を上げて周囲を確認し、味方の動き出しを予測しよう」
- 「味方の動き出しを予測するために、何をする?」
- 「練習中に、パスを受ける側の選手の得意な動きや、相手ディフェンスの癖を観察しておこう」
このように具体的に掘り下げていくことで、指示を出した側(監督やコーチ)は自分の意図をより明確にすることができますし、指示を受ける側(選手)も何をすべきかが明確になり、迷いなくプレーに集中できるようになります。結果として、お互いの無駄なやり取りが減り、効率的な練習や試合運びへと繋がるでしょう。
言語化が上手な人の特徴:比較と定義
言語化が上手な人の特徴として、2つの方法が挙げられていました。
- 比較: 何か物事を捉える際に、他の何かと比べることで対象が捉えやすくなるそうです。
例えば、今日の気温が何度と言われてもピンとこなくても、昨日より5度下がったと言われれば寒さを感じやすい、といった例が挙げられていました。商品や自分自身についても、他や過去と比較することで表現しやすくなる、とのことです。 - 定義: 物事の「定義」を考えることが究極の言語化であると木暮さんは語っています。ただし、「〜とは〜である」という形式だけでなく、その物事が成立するために「何が必要条件として満たされていなければならないのか」を挙げることが重要だとしています。
例えば「リゾート」の定義を考える際に、「海がきれい」「半袖短パンで過ごせる」「人が少ない」といった条件を挙げることで、自分にとってのリゾートが明確になるという例が示されました。
人によってその定義は異なるので、お互いの定義を確認し合うことで、頭の中が明確になり、意図が伝わりやすくなるそうです。
私たちは言葉でコミュニケーションを取っていますが、自分の頭の中で明確になっているのはわずか5%程度であり、残りの95%は曖昧なままコミュニケーションを取っているという研究結果もあるそうです。
だからこそ、定義をしっかり考えることで、曖昧さを減らすことが重要だと感じました。
ゴール設定の言語化:KPIと定性的な目標
ビジネスにおけるゴール設定の言語化についても触れられています。
KPIのような数値で示せる目標も重要ですが、それだけでは不十分な場合があるそうです。
特に企画職やアナウンサー職のように、数字で測りにくい仕事もあります。
そこで重要になるのが、定性的なゴールの言語化です。
木暮さんは、仕事の価値とは「変化」をもたらすことであり、具体的には「誰かが、何かができるようになる」という状態を創り出すことだと定義されています。
例えば、視聴者さんが番組を見ることで、これまでできなかったことができるようになった、制作スタッフがタスクをより短い時間でこなせるようになった、といった変化がこれにあたります。
このような「誰が何ができるようになることに貢献しているのか」という定性的な目標を、数値目標と合わせて考えることが、仕事の目的を明確にし、貢献している実感を得ることにつながるそうです。
この考え方は、【足育チャンネル】の実践にも非常に役立つと感じました。
単に知識や方法を伝えるだけでなく、【足育チャンネル】を受けることで、子どもたちがどんなことができるようになるのか、保護者や先生がどんな変化を感じられるのか、という点を明確に言語化して伝えることが、活動の意義や価値をより深く理解していただく上で重要だと感じています。
これが、私の活動における定性的なゴール設定になるのだな、と気づかされました。
スポーツにおけるゴール設定の言語化:測定可能な目標と定性的な目標
スポーツの世界においても、ゴール設定の言語化は非常に重要です。
数値で示せる測定可能な目標はもちろん大切ですが、それだけでは語り尽くせない、より深い目標が存在します。
特に、個人の成長やチームの成熟といった、数字では測りにくい側面を持つ場合、定性的なゴールの言語化が不可欠となります。
木暮さんが「仕事の価値は『変化』をもたらすこと、具体的には『誰かが、何かができるようになる』という状態を創り出すこと」と定義されているように、スポーツにおいてもこの考え方は当てはまります。
例えば、選手がトレーニングを通じてこれまでできなかったことができるようになった、あるいはチームが戦術を習得したことで、これまで勝てなかった相手に勝てるようになった、といった「変化」がこれにあたります。
スポーツにおける定性的なゴール設定の例
このような「誰が何ができるようになることに貢献しているのか」という定性的な目標を、数値目標と合わせて考えることが、活動の目的を明確にし、貢献している実感を得ることにつながります。
例えば、
- コーチング:
- 単に「A選手がシュート成功率50%を達成する(測定可能な目標)」だけでなく、「A選手がプレッシャーの中でも冷静にシュートを決められるようになり、自信を持ってプレーできる(定性的な目標)」といった設定が考えられます。
- 「チームが年間勝ち点60を目指す(測定可能な目標)」だけでなく、「チームが逆境でも諦めずに戦い抜き、最後まで団結できる精神力を培う(定性的な目標)」といった目標も重要です。
- ユース育成:
- 「U-12チームが地域大会で優勝する(測定可能な目標)」だけでなく、「子どもたちがサッカーを通じて、困難を乗り越える粘り強さや、仲間と協力する大切さを学ぶ(定性的な目標)」といった、人間的な成長を促すゴールを設定できます。
- リハビリテーション:
- 「負傷した選手が3ヶ月以内に実戦復帰する(測定可能な目標)」だけでなく、「選手が怪我を克服し、以前よりも強靭な体と精神でプレーできるようになる(定性的な目標)」といった、より包括的な目標を設定できます。
これらの定性的な目標を明確に言語化し、選手やチームに伝えることで、単に数字を追いかけるだけでなく、スポーツ活動の真の意義や価値を深く理解し、それに向かって努力するモチベーションを高めることができるでしょう。
これは、練習の質を高め、個々の成長を促し、最終的にはチーム全体のパフォーマンス向上に繋がる、非常に重要な要素です。

このように、スポーツにおけるゴール設定では、数値で測れる明確な目標と、内面的な成長やチームの変化に焦点を当てた定性的な目標の両方を言語化することが大切です。あなたのチームや活動で、どのような「変化」を生み出したいですか?
まとめ
今回の動画を通して、言語化が単に言葉を飾ることではなく、「明確化」すること、そしてそれがビジネスやスポーツ、あらゆるコミュニケーションにおいていかに重要であるかを学ぶことができました。
特に、
- 自分が伝えたいこと、考えていることの「明確化」が言語化の第一歩であること。
- 指示や依頼をする際は、「そのために何をする」を繰り返して具体的なアクションを明確にすること。
- 物事の価値やゴールを、KPIのような数値だけでなく、「誰かが何かができるようになる」という変化として捉えること。
- 自分の言葉が相手に伝わるように、比較したり、言葉の必要条件による定義を考えたりすること。

これらの学びを、【足育チャンネル】に関する今後のブログ記事作成に活かしていきたいと強く感じています。
読者の皆さんに、より分かりやすく、そして「これを知ることで、こんなことができるようになるんだ!」という変化を感じてもらえるような発信を目指していきます。