運動する前に、靴を見る理由
FOOT & SHOES — 柱の記事
運動する前に、靴を見る理由
アクセルを踏みたくても、ブレーキを踏みたくても、踏み切れない。体の問題ではなく、足が入っている箱の問題であることが、思っているより多くあります。運動を始める前、続けている途中、どちらの方にも読んでほしい話です。
この記事は、こういう方に向けて書いています
- ウォーキングやジョギングを始めたい/続けている
- ジムやレッスンに通っているが、思ったほど変わらない
- スポーツをしているが、足が痛くて楽しみきれない
- 子どもや選手に、運動を教えている
01 — THE TRAP「痛いから、大きめを」の落とし穴
カウンセリングでよく出会うのが、この選び方です。
足が痛い。だから、ひとつ大きいサイズを。できれば幅も広いものを。
気持ちはとてもよく分かります。痛いところに当たらない靴を選ぶ。ごく自然な判断です。実際、それで当たりの痛みは減ります。
ただ、そのあとに起きることがあります。
そして、この状態のままトレーニングを積むことになります。
自分で可動域を狭くしている。
制限を、自らかけてしまっている。
02 — PEDALS足には、アクセルとブレーキがあります
ここで、車に例えさせてください。運動という動作は、突き詰めるとこの2つでできています。
アクセル
PUSH — 前に進む
親指の付け根(母趾球)で地面を押す力です。ここに乗れると足の裏がピンと張り、足が一枚の硬い板になる。板だから、押した力がまっすぐ前に出ます。
ブレーキ
STOP — 受け止める
着地して、体重を受け止めて、止まる力です。方向を変えるとき、階段を下りるとき、つまずいて踏みとどまるとき。すべてブレーキの仕事です。
靴の中で足が滑っていたら、両方とも空回りします。
ここが大事なところです。アクセルもブレーキも、足が靴の中で固定されていることが前提になっています。
大きい靴の中で足が滑っていると、押す力は地面に届く前に靴の中で逃げる。受け止める力も、足がズレるぶんだけ遅れて働く。アクセルもブレーキも、半分しか踏めていない状態です。
この状態で、いくらトレーニングを重ねても。
「できる条件が揃っていない」。
03 — HONESTここは正直に書いておきます
ネットには「合わない靴が扁平足やO脚を作る」という説明があふれています。ただ、そこまで言い切れる根拠は、実はありません。
O脚は骨の形や膝の要因が大きく、靴だけで説明できるものではない。扁平足も同じです。そもそも足が痛かったから大きい靴を選んだわけで、痛みの原因が先にあった可能性は消せません。
言い切れるのは、ここまでです。
- 大きい靴では、足の指で掴む代償が起きる
- 靴の中で足が滑れば、狙った動きは出にくい
- つまり、トレーニングの前提が揃っていない
「靴のせいで体が歪む」ではなく、「靴が、体の力を出しきらせてくれない」。私が現場で見ているのは、こちらです。
04 — CHECK今日、30秒でできること
特別な道具は要りません。いま履いている靴でやってみてください。
- 後ろから見る床に置いて、真後ろから眺める。かかとが内側か外側に倒れて立っていませんか。その傾きが、あなたの足が毎日処理してきた課題です。
- 靴底を見るいちばん正直なカルテ。かかとの外側がやや減るのは正常です。つま先の外側まで減っていたら、最後まで小指側で蹴っているサイン。
- かかとの芯をつまむ親指と人差し指で挟んで潰してみる。簡単にへこむなら、あなたのかかとを支える気のない靴です。
- 手で曲げる靴を前後に曲げて、どこで折れるかを見る。親指の付け根と一致していなければ、歩くたびに足の途中を無理に曲げていることになります。
- ひもを締めて立ついつもより一段しっかり締めて、その場で足踏み。それだけで感覚が変わるなら、締め忘れが原因だったということです。いちばん多いパターンです。
⑤で変化を感じた方。トレーニングを始める前に、まずそこからで十分です。
05 — ORDER順番の話
誤解してほしくないので、はっきり書きます。運動はしてください。靴が完璧になるまで待つ必要はまったくありません。
お伝えしたいのは、順番です。
- 靴を整える(今日できる)
- その足で、運動する
- 足りない部分を、トレーニングで足す
逆にすると、遠回りになります。滑る足のまま鍛えると、掴む癖のほうが強化されてしまうからです。努力の量ではなく、努力が届く場所の問題です。
06 — NEXTもう一歩、詳しく知りたい方へ
ここから先は、それぞれの立場に合わせた各論です。気になるものから読んでみてください。
運動が好きなのに、足が痛くて楽しみきれない。その状態を「体力が落ちたから」で片付けないでほしいと思っています。足が入っている箱を整えるだけで、戻ってくるものは案外あります。
FOOT & MENTAL COUNSELING あなたの靴と足を、一緒に読み解きます →足育心育カウンセラー


