運動する前に、靴を見る理由

FOOT & SHOES — 柱の記事

運動する前に、靴を見る理由

アクセルを踏みたくても、ブレーキを踏みたくても、踏み切れない。体の問題ではなく、足が入っている箱の問題であることが、思っているより多くあります。運動を始める前、続けている途中、どちらの方にも読んでほしい話です。

足育心育Channel / 足育カウンセラー視点 / 読了 約7分

この記事は、こういう方に向けて書いています

  • ウォーキングやジョギングを始めたい/続けている
  • ジムやレッスンに通っているが、思ったほど変わらない
  • スポーツをしているが、足が痛くて楽しみきれない
  • 子どもや選手に、運動を教えている

01 — THE TRAP「痛いから、大きめを」の落とし穴

カウンセリングでよく出会うのが、この選び方です。

足が痛い。だから、ひとつ大きいサイズを。できれば幅も広いものを。

気持ちはとてもよく分かります。痛いところに当たらない靴を選ぶ。ごく自然な判断です。実際、それで当たりの痛みは減ります。

ただ、そのあとに起きることがあります。

大きい靴を履く当たらない。楽になった気がする
靴の中で足が前後に滑る歩くたび、走るたび、毎歩ズレていく
脱げないように、足の指で掴む本人にはまったく自覚がありません
掴む筋肉ばかりが働き続ける本来使ってほしい場所は、出番を失います
その状態が、いつのまにか歩き方になるフラフラする、ガニ股になる、踏ん張りが利かない

そして、この状態のままトレーニングを積むことになります。

動きたいのに、
自分で可動域を狭くしている。
制限を、自らかけてしまっている。

02 — PEDALS足には、アクセルとブレーキがあります

ここで、車に例えさせてください。運動という動作は、突き詰めるとこの2つでできています。

アクセル

PUSH — 前に進む

親指の付け根(母趾球)で地面を押す力です。ここに乗れると足の裏がピンと張り、足が一枚の硬い板になる。板だから、押した力がまっすぐ前に出ます。

ブレーキ

STOP — 受け止める

着地して、体重を受け止めて、止まる力です。方向を変えるとき、階段を下りるとき、つまずいて踏みとどまるとき。すべてブレーキの仕事です。

アクセル ブレーキ 母趾球
どちらも、足が地面と噛み合っていて初めて成立します。
靴の中で足が滑っていたら、両方とも空回りします。

ここが大事なところです。アクセルもブレーキも、足が靴の中で固定されていることが前提になっています。

大きい靴の中で足が滑っていると、押す力は地面に届く前に靴の中で逃げる。受け止める力も、足がズレるぶんだけ遅れて働く。アクセルもブレーキも、半分しか踏めていない状態です。

この状態で、いくらトレーニングを重ねても。

「うまくできない」のではなく、
「できる条件が揃っていない」。

03 — HONESTここは正直に書いておきます

ネットには「合わない靴が扁平足やO脚を作る」という説明があふれています。ただ、そこまで言い切れる根拠は、実はありません。

O脚は骨の形や膝の要因が大きく、靴だけで説明できるものではない。扁平足も同じです。そもそも足が痛かったから大きい靴を選んだわけで、痛みの原因が先にあった可能性は消せません。

言い切れるのは、ここまでです。

  • 大きい靴では、足の指で掴む代償が起きる
  • 靴の中で足が滑れば、狙った動きは出にくい
  • つまり、トレーニングの前提が揃っていない

「靴のせいで体が歪む」ではなく、「靴が、体の力を出しきらせてくれない」。私が現場で見ているのは、こちらです。

04 — CHECK今日、30秒でできること

特別な道具は要りません。いま履いている靴でやってみてください。

  1. 後ろから見る床に置いて、真後ろから眺める。かかとが内側か外側に倒れて立っていませんか。その傾きが、あなたの足が毎日処理してきた課題です。
  2. 靴底を見るいちばん正直なカルテ。かかとの外側がやや減るのは正常です。つま先の外側まで減っていたら、最後まで小指側で蹴っているサイン。
  3. かかとの芯をつまむ親指と人差し指で挟んで潰してみる。簡単にへこむなら、あなたのかかとを支える気のない靴です。
  4. 手で曲げる靴を前後に曲げて、どこで折れるかを見る。親指の付け根と一致していなければ、歩くたびに足の途中を無理に曲げていることになります。
  5. ひもを締めて立ついつもより一段しっかり締めて、その場で足踏み。それだけで感覚が変わるなら、締め忘れが原因だったということです。いちばん多いパターンです。

⑤で変化を感じた方。トレーニングを始める前に、まずそこからで十分です。

05 — ORDER順番の話

誤解してほしくないので、はっきり書きます。運動はしてください。靴が完璧になるまで待つ必要はまったくありません。

お伝えしたいのは、順番です。

  • 靴を整える(今日できる)
  • その足で、運動する
  • 足りない部分を、トレーニングで足す

逆にすると、遠回りになります。滑る足のまま鍛えると、掴む癖のほうが強化されてしまうからです。努力の量ではなく、努力が届く場所の問題です。

NOTE 痛みが続いている、しびれがある、腫れているといった場合は、靴の見直しより先に整形外科での評価を受けてください。この記事は診断や治療の代わりにはなりません。

06 — NEXTもう一歩、詳しく知りたい方へ

ここから先は、それぞれの立場に合わせた各論です。気になるものから読んでみてください。

運動が好きなのに、足が痛くて楽しみきれない。その状態を「体力が落ちたから」で片付けないでほしいと思っています。足が入っている箱を整えるだけで、戻ってくるものは案外あります。

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